愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記 | ふわ こういちろう, 戸矢 学 |本 | 通販 | Amazon

天岩戸開き、ヤマタノオロチ、因幡の白兎、海幸彦と山幸彦など、子供のころに読んだ日本の神話はどれも古事記に載っているもの。古事記というと難しそうなイメージがありますが、実は個性的なキャラクターの神様が様々な愛憎劇や冒険活劇を繰り広げる、愛と涙と勇気の一大ストーリー。そんな古事記を大人も子供も楽しめる作品に仕上げたのがこれ。活字の古事記につまずいた人でもすんなり古事記の世界に入れます。

感想

できーるだけ簡潔に、入門書として作成しようとした努力が感じられる。ということで、こっちもさらーっと読んだ。でも2周。1周に1時間もかからない?計っていないからわからないが、少なくとも180ページ足らずのちょっと文字が多い(とはいえ銀魂よりは少ない)漫画なので非常にとっつきやすいことは間違いない。助かった。電子書籍だったので実物はどうかというと、「14.9 x 1.5 x 21 cm(Amazonより)」なのでちょっと大きめの漫画本くらい?Gファンタジーとかあのへん。

顔の区別は一部つきづらい。以前に出てきた神様かどうか覚えきれないこともあって判別が難しい。まあ正直細かいことまで覚えるための本ではないので、大勢がつかめればそれで良い気もする。

ただ、なんらかの作品ではこういう風にこの神様は描写(描画)されている、という情報もあれば漫画絵をさらに楽しめた。この漫画絵だけだと誤解を招く可能性がある。神様の身長や風貌は資料に基づいているのか?いちいちググるのも面倒だからしらんが。

桃太郎や浦島太郎の原典はまったく知らなかった。へぇーって感じ。ヤマタノオロチや因幡の白兎は、話自体は知っていたがその前後や登場人物の詳細、それらが祀られている神社など、補足情報も割と豊富なので物語を知っていても楽しめる。というかクシナダヒメもその父母も神様なのね。神様ではない人型生物は併存していたのだろうか。キジは出てきたがサルは出てこなかったな……

スサノオだいぶクズだったw ヤマタノオロチの印象しかなかったが、2回も追放されたり飯を作ってくれたオオゲツヒメを殺したり、こいつはひどい。そのあとちゃっかり英雄になったり日本初の和歌を詠んだり、やりたい放題だな。

それにしてもほんとなんでも神様にするな。サルタヒコが底に沈んだときの神(底度久御魂そこどくみたま)、息の泡の神(津部多都御魂つぶたつみたま)、泡が水面ではじけたときの神(阿和佐久御魂あわさくみたま)ってなんだ。オオナムヂを匿った大屋毘古神(おほやびこのかみ)はトトロのクスノキのモデル?日本昔話の元ネタも色々あるが、ジブリであったり、クラミツハなんかは「神様ドォルズ」、パズドラ他ゲームなんかいくらでも、手塚治虫の「火の鳥」……いいねこの感じ。同じように聖書やシェイクスピア、孫子の兵法なんかも学びたいのよね。

中下巻はダイジェスト。ほぼ上巻のみを漫画にして、これを読んだ学生が日本史にどこまで興味を持てるのか……これはこれ、それはそれ、になりそう。中下巻もしっかり取り組んでほしかった気がする。と思ったけど、2周目に改めて読んでみるとむしろダイジェストでかるーく済ませたから全体の雰囲気を損なわずに済んでいるのか。上巻が神代記なのでもともとかなり雰囲気が違うのかな。できるだけ上巻を漫画にしたノリを続けようとすると、たしかにタイジェストは良い方法かもしれない。ぽぽぽーんと天皇の系譜が語られていくが、このへんを細かく言われても覚えていられないしリズムも悪くなって最後の尻すぼみ感が半端じゃないだろうしね。

情報を落としているだろうが、それにしても突飛な設定やストーリーが展開される。現代のラノベと言われても案外違和感がないのかもしれない笑 と思っていたら、ラノベ古事記ってあるのね。と思っていたら今日の天声人語で引用されていた。どこで学びがつながるか本当に分かったもんじゃないな。

好きな漫画は何回も読んでしまって自然と内容を覚えるように、これを何回も読むかはわからない。ひとまず2回読んだが。2回はたぶんいる。かなり頭に入ってきやすかった。そういえばちびまる子ちゃんの四字熟語や漫画日本昔話も何回か読んだからなぁ。また気が向くときはあるかもしれない。

思った以上に楽しめた。深入りするかは微妙だが、何に対しても日本発祥のものに対しては取っ掛かりを作れたような気がするので、ひとまず満足。同じようなノリで世界の神話も知りたいな。