これまでに、「ロミオとジュリエット」「ジュリアス・シーザー」を読了した。今回でようやく3作目。「シェイクスピア 福田恒存訳 東京 : 新潮社 1968.2-1968.3」の1巻で読んでいる。

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新潮社HPより

今までで一番人間味のある主人公ハムレット王子だった。劇中劇もあり、歌もあり、墓、宴、決闘、船、花飾り、最後に葬送行進曲、道化、亡霊、言葉遊び、憎悪、恋路、友、不倫。これまでになくたくさん詰め込まれているが、散らかっているとは思わない。是非一度劇として鑑賞したい。家にDVDがある、と思っていたら全然関係ない「カルメン」(19世紀のオペラ)だったw

最後、ハムレット王子と共に死のうとしたホレイショーがハムレットに止められる場面が一番好きかも。これまでの2作がいずれもだれかの後を追って自殺するとか、あっさり殺されてしまうとか、とにかく人死が盛んだったが、死なずに済んだというのは珍しい。ハムレットが友を想う気持ちも垣間見られておもしろい。

ハムレットが一本取ったら杯に真珠を入れるような装飾過多な行為はハムレットが忌避するだろ、と思ったら、セリフではなく行動で拒否していたのもこれまでと趣旨を変えてきて飽きさせない工夫のようなものが感じられる。結果として淫らだと罵っていた母親が死ぬことになるのだが。

最後ホレイショーのセリフ「不倫、非道、血生臭い所行の数々、それに引き続いて起こった偶然の裁き、過ちの殺人、また、挑まれて余儀なくもくろんだ殺戮、すべては、的を射損じた悪巧みが、とどのつまり、それ、こうして張本人の頭上にふりかかってまいった始終の仔細。何もかも、ありのままにお伝えいたしましょう。」が要約となっている。

有名なハムレットのセリフとして「生か、死か、それが疑問だ」があるが、個人的にはその後の「この生の形骸から脱して、永遠の眠りについて、ああ、それからどんな夢に悩まされるか、誰もそれを思うとーいつまでも執着が残る。」の方が好み。人が死を恐れる理由として、死した後に見る夢を恐れるというのはおもしろい解釈だと思う。

まとめ(というほどでもないが)

ファンタジックで、悲喜こもごも、要素が盛りだくさんのみならず、手を変え品を変えの劇表現も読み応えがあり、自分の中では傑作の1つに数えられる。

一番好きなセリフは(ハムレット)「さ、隠れんぼだ。もういいぞ。(いきなり駆け出す。一同後を追う)」。それは鬼ごっこw